かんちがい続出!行政書士が教える運送業車両の届出・認可

 

1.増減車は届出なのか認可なのか?

 

まず、届出と認可の違いがわかりませんよね。

前提として、届出は行政庁で受理されればすぐに効果が発生します。

それに対して、認可は行政庁の同意によってその効果が発生します。認可を受けずに行われた行為は無効となります。

 

令和元年11月1日から事業用自動車の増車手続きが大幅変更になっています。

「事前届出」であったものが、一定の条件に該当する場合は認可が必要になりました。

行政庁の同意のために、審査が必要になったということです。

つまり、届け出ることによって即日増車ができていたものが、認可が必要なものになる場合、1ヶ月以上の審査期間がかかります。

 

普通増車することは、事業の拡大を目指すことになります。改正の趣旨を理解して事前に準備をしておきましょう。

では、どういった場合に届出と認可で区別されるのか1つずつ確認していきましょう。

 

2.増減車認可申請

 

通常増減車は届出になりますが、以下の場合は認可が必要です。

①最低車両数5両を下回る場合

例 10両→3両 ; 認可

例 10両→6両 : 届出

 

※減車により5両(最低車両数)を下回る場合は、原則認められない。ただし、災害時など認められる場合がある。

 

②増車する車両数が、申請日から起算して3ヶ月前時点の車両数の30%以上であり、かつ11両以上である場合。(増車する車両数:今回変更する数と、3ヶ月以内に増加した数を合算した数)

例 10両→15両 : 50%だが10両以下なので 届出

例 37両→48両 : 11両だが29%なので 届出

例 36両→47両 : 30%以上かつ11両以上なので 認可

 

③増車で以下に該当する場合

ア密接関係者(グループ会社、子会社、親会社)が貨物自動車運送事業の許可の取り消し後5年を経過しないもの

イ変更に係わる営業所の行政処分の累積点数が12点以上

ウ変更に係わる営業所が、申請日前1年間に巡回指導の総合評価で「E」評価を受けている

 

 

3.増減車届出(事業計画変更届出)

車庫の面積に注意が必要です。必要面積が実際の車庫の総面積を超える場合は、増車できません。ぎりぎりの場合は、車輛配置図面を添付します。

また、車両台数が間違っていると、窓口で受け付けてくれません。注意してください。

 

新規同様、「連絡書」発行手続が必要です。

※ 届出と同日に手続き(3セット)できます。

 

①様式:事業計画変更認可申請書・届出書

②申請先:営業所の住所を管轄する運輸支局

③代理申請の場合、委任状必要

④押印不要

⑤提出部数:一部(副本、事務所控は必要)

 

4.その他注意点

 

①車庫面積が不足していると、どんなに増車する車両の納車準備が整っていても、事業用ナンバーを取得する際に必要な連絡書を発行してもらえないため、事業用ナンバーの交付を受けることができません。

 

②増車手続きの際に注意が必要な車庫面積とは、物理的に車両が駐車できる面積を確保していることをいいますが、認可車庫面積が基準となります。

新規許可取得時から車庫の変更がない場合は、新規許可申請書に添付した車庫の求積図面に記載されている面積が認可車庫面積となります。

 

③認可車庫面積に対して配置車両の所要面積に余裕がある場合は、各車両の占有面積の参考値を使って配置車両の所要面積を検討するのが一般的です。

認可車庫面積の余裕がない場合、認可車庫面積と配置車両の所要面積を検討して、車庫の面積に余裕がない場合は、車庫の平面図上で、車両が全台数収容できないかの検討をしましょう。

 

④認可車庫面積が不足している場合の増車手続きは・・

拡張する車庫の準備

認可車庫面積を増やす事業計画変更認可申請(東京・神奈川の場合では審査期間は2~3ヶ月)

増車手続き(連絡書取得)

事業用ナンバーの取得

という流れになります。

 

東京・神奈川に営業所のある運送業事業者の車庫面積を拡張する認可申請の審査期間は、2~3ヶ月程度は必要になると考えてください

 

5.最後に

 

車両を増車される運送業事業者の多くは、荷主さんの要望を受けて、増車になると思います。ですから、運行開始日が決まっている場合が多いのではないでしょうか。

また、認可車庫面積に余裕がない場合は、認可車庫面積を増やしてから増車手続きとなりますから、増車スケジュールが大幅に長くなってしまいます。

 

確実に増車のスケジュールを組みたいとお考えの運送業事業者は、運送業専門の行政書士に手続きを依頼することをご検討されてはいかがでしょうか。