許可後の手続
建設業許可を無事に取得した後も、役所への手続きはそれで終わりではありません。
継続的に建設業を行っていくために、また状況に応じて次のような手続きが必要になります。
それぞれの手続きについて具体的に見ていきましょう。
建設業許可の更新
建設業許可の有効期限は5年間とされています。
具体的には、許可の出た日から5年目の許可日の前日で満了になります。
そして更新手続きの申請は、この満了の日の3ヶ月前からか満了の日の30日前までにしなければなりません。
※更新手続きの注意点
建設業許可には業種が29種類あり、許可の追加取得した場合は、有効期間に伴う更新時期が各々の業種で異なるので更新漏れがないよう注意が必要です。
全て一本化する制度を利用すると手間を省くことができます。
建設業許可の変更届
建設業許可取得後も、毎年事業年度終了時に決算変更届を提出する必要があります。
また一定の事柄について変更があったときも、都度変更届を提出しなければなりません。
それぞれについて見ていきましょう。
決算変更届とは
事業年度が終了したら4ヶ月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
これが提出されないと建設業許可の更新ができなくなり、またまた経営事項審査も受けることができません。
さらに届出をしないと6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金となりますので、必ず提出しましょう。
決算変更届に必要な添付書類
決算変更届に添付が必要な書類は次のものになります。
- 工事経歴書
- 直近3年の事業年度ごとの工事施工金額
- 事業報告書(株式会社の場合)
- 財務諸表
- 納税証明書
その他の変更届、次のような一定の事柄に変更があった際も変更届を提出しなければなりません。
2週間以内に届出が必要な事項
- 経営業務の管理責任者の変更または指名に変更があった場合
- 専任技術者に変更等または指名に変更があった場合
- 経営業務の管理責任者または専任技術者が欠けた場合
- 建設業法施行令第3条の使用人に変更があった場合
- 欠格要件に該当することになった人があった場合
30日以内に届出が必要な事項
- 役員に変更があった場合
- 個人の事業主や支配人または法人の役員の指名に変更があった場合
- 支配人に変更があった場合
- 商号または名称に変更があった場合
- 既存の営業所の名称や所在地または業種に変更があった場合
- 資本金額(出資総額)に変更があった場合
毎事業年度終了して後、4ヶ月以内に届出が必要な事項
- 定款が変更された場合
- 使用人数に変更があった場合
- 建設業法施行令第3条の使用人(営業所長)の一覧表に変更があった場合
- 国家資格者等・監理技術者一覧表に記載されている技術者に変更があった場合
経営事項審査(経審)公共工事を直接請け負う場合は、必ず経営事項審査を受けなければなりません。
審査内容
経営事項審査での審査内容は次のようになります。
X1工事種類別年間平均完成工事高の評価
X2自己資本額および利益額の評価
※自己資本額と利払前税引前償却前利益についての審査
Y経営状態の評価
※純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、利益剰余金の額、営業キャッシュ・フローの額についての審査
Z技術力の評価
※工事種類別元請完工高、工事種類別技術職員数
Wその他の審査項目(社会性等)の評価
※建設業の営業年数、社会保険加入状況等、防災活動への後見、建設業の経理、公認会計士等、法令遵守、ISO、研究開発、建設機械の保有状況についての審査
※総合評定値Pは次のようになります
0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W
※激変緩和措置
次の2つについては自由に選ぶことができます。
- 工事種類別完成工事高…2年平均または3年平均
- 自己資本額…基準決算または2年平均
審査の流れ
経営状況分析の分析(Yについて)申請
国土交通省の登録を受けている登録経営状況分析機関にYについて経営状況分析を申請します。
およそ1~2週間で結果が出ます。
経営規模等の評価(X・Y・Zについて)と総合評定値(Pについて)申請
X・Y・Zについて経営規模等評価を許可行政庁に申請します。
このとき経営状況分析(Y)の審査結果を添付します。
およそ1ヶ月ほどで審査が終わり結果通知書が送付されます。
経営事項審査の有効期間
経営事項審査の結果通知書の有効期限は、審査基準日である決算日から1年7ヶ月です。
これは経営状況の分析や経営規模評価・総合評定値の通知日や受取った日付とは関係のないものです。
経営事項審査を前の年に受けていたとしても、翌年度の経営事項審査の申請が遅くなってしまった場合などは、前の年の経営事項審査の審査基準日である決算日から1年7ヶ月までに翌年の経営事項審査の結果通知が届かない場合は、通知書が届くまでの間、公共事業を請け負うことができなくなってしまします。
このような空白の期間を作らないためにも毎回の決算後、迅速に経営事項審査の申請を進めていくことが大切です。
同時に経営事項審査の前提条件である決算変更届も毎回の決算後忘れることなく迅速に提出しましょう。
手数料
許可行政庁における審査手数料は次のようになります。
経営規模等評価…8,100円+2,300円×業種数
総合評定値…400円+200円×業種数
審査手数料合計…経営規模等評価+総合評定値
よって経営事項審査手数料合計は
1業種では11,000円(10,400円+600円)
2業種では13,500円(12,700円+800円)
3業種では16,000円(15,000円+1,000円)
10業種では33,500円(31,100円+2,400円)
29業種では81,000円(74,800円+6,200円)
となります。
※経営状況分析の手数料は、それぞれの登録経営業況分析機関によって異なります。
入札参加資格審査申請
国などから公共工事を直接請け負う場合は、経営事項審査の結果通知書が届いた後、入札参加資格の審査を受けなければなりません。
この審査に合格して入札参加資格者となった業者のみが入札参加資格者名簿に名前が載り、競争入札に参加することが可能になります。
申請の条件
入札参加資格審査を受けるには、希望の工事の業種ごとに、次の2つを満たしていなければなりません。
1.建設業許可を取得していること
2.経営事項審査を受けていて、その結果通知書が有効期間内であること
受付期間
入札参加資格審査の受付期間は各役所によってまちまちですが、1月から3月の年度末の辺りで2週間ほどに限られているケースが多いようです。
一方、随時受付の役所もあり、その場合は電子申請のみというケースが増えてきています。
電子申請とは
申請を窓口ではなくインターネットですることをいいます。
具体的には前もって申請者IDとパスワードを取得しておき、受付期間内にインターネットで申請をし、添付書類などを郵送または持参して申請します。
有効期間
一般的に、入札参加資格審査の有効期間は2年とされていますが、役所によって異なる場合があります。
格付け
入札参加資格審査の申請を受け付けた役所は、経営事項審査の評定をもとに独自の基準で数値を加減しA・B・Cなどと格付けをして名簿を作ります。
格付けごとに発注金額が変わり、格付けが高評価であればあるほど金額の大きな工事を請け負うことができます。
入札に参加
入札参加資格の審査を無事に受けたら、いよいよ入札に参加することができます。
公共事業公募などは広報やホームページに載っていて、工事名や工事場所をはじめ、格付けなどの要件や受付期間、入札日が載っています。
なお多くの官公庁で、現在では電子入札を行っていて、今後この傾向はさらに高まると思われます。
電子入札について
窓口ではなくインターネットで入札する電子入札は、電子申請と同様に前もって申請者IDとパスワードを取得しておく必要があります。
入札参加資格審査後の変更の届出
建設業許可と同じく、入札参加資格審査申請後に、会社や代表者などに変更があった際は、変更の届出をしなくてはなりません。
このように建設業許可は取得したら役所とのやりとりが終わるのではなく、更新手続きや公共事業の直接受注にはさらにさまざまな手続きを継続して行う必要があります。
八王子にある伊橋行政書士法務事務所では建設業許可取得申請のサポート業務をいたしております。
建設業の純粋な許可申請の代行だけではなく、経営や財務問題にも対応しております。
初回のご相談は無料で承っておりますので、建設業でお悩みをお抱えの際は、まずはお気軽にお問い合わせください。